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移住者の声 vol.3 安達 泉さん


出身地:大阪府
現住所:奈良市(東部地域)
移住年:1987年
職業:ギャラリー経営(ギャラリーファブリル)、料理教室主宰

これまでの略歴と奈良に移住したきっかけを教えてください。

私は、大阪で生まれて大阪で育ち、都会のど真ん中で仕事をしていました。20代の頃はギャラリーで働いていました。そのときは自然なんてのはたまに遊びにいって楽しいと思うレベルで、そこで何が行われているかなんて、正直あまり関心はなかったです。

ここに引っ越してきたきっかけは、結婚した相手が家具作りの作家で、彼が作家活動をするためにここにきました。これまで経験したことないことがいっぱいあり、最初は特に面白かったです。花が咲いて、鳥が鳴いて、田植えが始まって、と今まで経験のないことが目の前に見えるので、新鮮な驚きがありました。

奈良(田原地区)に来てみて困ったことや驚いたことは?

私の場合、地域に親戚関係がいるわけでもなく全くのよそ者なわけですから、周りから見ると宇宙人みたいな存在だと思います。「なんかモノ作ってはるわー」という感じ。どこにでもある話かもしれないが、噂などは世間が狭いだけに目立ちます。

あと地域でこぞって何かをするということに慣れていないかもしれないです。10年前にここで映画のロケがあったのですが、映画のロケが来るなんてワクワクするものだと思っていたら、周囲の方はそんな風には捉えていないようでした。自分たちが住んでいる場所での映画の撮影ということで、いろんな厄介事が起きることに対して懸念されているようでした。私たちはフィルム・コミッションを結成し様々な関係者と調整し、撮影スタッフの方にも挨拶を徹底してもらうようにしました。そうしていくうちに、周囲の方々が撮影の合間に差し入れを持って来て下さったり、暑い中エキストラを快く引き受けてくれたりと協力してくれるようになりました。

田舎も街も好き。奈良にいると両立できる

奈良(田原地区)に来てみてよかったことは?

はじめは借家で住み始めて、その後家を探してたけどなかなか見つからなかったです。5年ぐらい探していて諦めかけていたころに、近所のおじさんが私達が家を探しているという話を聞きつけて、今の土地を紹介してくれました。少し小道に入ったところで、私も夫もものすごく気に入って決めました。人を呼んでくれる家で、16年半経ちましたが、全然飽きません。先ほどのフィルム・コミッションの仲間や、それ以外の家族含めて10家族ぐらいが今でも定期的に集まっています。私は離婚したので今は一人なのですが、周りの方がそれとなく気にかけて助けてくれます。そういう方たちは、長く築いてきた私の宝ものです。

あと住みやすい環境なのが良いですね。冬は寒いですけど、雪に埋もれて何日も動けないということはないし、夏は涼しいですし。あと大阪に出るのも近いんです。私、田舎も好きなんですが、街も好きなんです。やっぱり美術館行ったり、お芝居観たり、映画観たり、音楽聴きに行ったりする時間がないとダメなんです。こういう仕事をしているから思うのですが、自然から得られるものがあると同時に、自然が奪っていくものもあると思うんです。自然が良いからといって、ずっと自然の中ばかりだとダメになってしまう。どちらもないとダメなので、ここは本当に良いところです。

田舎の良いところも悪いところも知った上で考える

移住を考えている方にメッセージをお願いします。

田舎暮らしは決して桃源郷ではありません。良いこともあれば、嫌なこともあります。

例えばご夫婦で田舎暮らしをする場合、二人とも田舎が好きでないと厳しいと思います。どちらか一方が好きで、もう一方が仕方なく来た、というのでは厳しいです。そういうご夫婦で出ていった方もいます。田舎は生活コストは低いと思うかもしれませんが、自治会費が結構高かったり、車が必須だったりと、意外とコストもかかります。そういったことをわかった上で田舎暮らしをするのであればよいと思います。いろいろ申しましたが、嫌なこと以上にたくさんの良いことがあります。ぜひいろいろと調べたり、聞いたりして判断してください。


 
written by
中島 章

東京で人材サービス会社・コンサルティング会社で働いた後、地元奈良へ移住。奈良移住計画を立ち上げ、移住者を応援する活動をしている。