【レポート】現代版参勤交代 吉野の旅 -前編-

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2019年3月16日
【レポート】現代版参勤交代 吉野の旅 -後編-
2019年6月12日

今年3月に開催された『みんなの移住計画祭2019 現代版参勤交代』で奈良HAN吉野軍から指名されたTAMI(民)の皆さんと一緒に吉野を巡るツアーを実施しました!


『みんなの移住計画祭2019 現代版参勤交代』とは・・・
「地方から江戸」という江戸時代の参勤交代を模して、「江戸(東京)→地方」という逆参勤交代を実現するパロディ企画。みんなの移住計画が主催で、地域に関わりたい首都圏中心の方たちを地域側が指名し、偶発的に人と地域の関係性を作るという企画です。
詳しくはみんなの移住計画WEBサイト

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ツアー日程は令和元年5月26日(日)~27日(月)、3月のイベントで指名された方を中心に、友人にも声を掛けてツアーを行いました。関東からの参加者が6人もいるのに始発に乗っても当日移動が不可能な吉野に11時集合というスケジュール(笑)!

それにも拘わらず前日入りしていただくなど、心が広い参加者に恵まれました。ある参加者は直前に当日移動が間に合わないとわかり、急遽夜行バスで来ていただくことになりました(すみません…)。

山口移住計画のムロさんがデザインしてくれた参勤交代用の幟(のぼり)を携えていざ出発です。

コースは吉野町役場の八釣さんにコーディネートいただき、普通の観光とは違って、地域に入り込むことを考えて企画されています。参加者の関心事は、食・発酵・建築・仏教・コミュニティなど幅広いジャンルだったのですが、だいたいカバーできたのではないでしょうか。吉野は懐が深いですね。。。レポートから少しでも雰囲気を感じてもらえれば幸いです。

(文/中島 章(奈良移住計画) 写真/みやちあきこさん(参加者)、まっすん(奈良移住計画)など)

世界発のコミュニティハウス 吉野杉の家

初めに向かったのは、吉野川沿いに建つ『吉野杉の家』。世界発のコミュニティハウスである吉野杉の家は、吉野杉の魅力を発信し地域の活性化を目指すために建設されました。

1階は地域に開放したコミュニティスペースで、2階はゲストが宿泊スペースとなっているハイブリット型の空間。まさにこの日も、地元の方々が集まっていて、「どこから来たん?」と、自然と会話が始まります。

吉野杉の家を案内していただいたのは、運営メンバーの一人である吉野中央木材株式会社専務の石橋輝一さん。

建築家の長谷川豪氏と、Airbnbとのコラボレーションにより建設されたこの建物。全体に吉野産木材をふんだんに使っており、すっきりとした印象の空間になっています。

1階は吉野杉、2階は吉野桧で作られており、1階と2階では香りが違います。ちなみに一番上質な材を使っているのは、まさかの『トイレ』とのこと。木目が美しい…。

縁側でのんびりするもよし、地域の人と交流するもよし、いろんな楽しみ方ができる『吉野杉の家』は、こちらのサイトから詳細をご覧になれます。

製材所でみた目利き力 吉野中央木材

続いて向かったのは、国産無垢材の製材所である『吉野中央木材』さん。引き続き石橋さんにご案内いただきます。

密植により細かい年輪を持つ吉野杉。長年にわたって大切に育てられた木を最大限活かすのは、製材所の目利き力です。樽用の木材の中でも、醤油に適しているものや日本酒に適しているものなど、石橋さんが見ればわかるようです(素人には違いが全然わかりません・・)。随所に細かな点までこだわる職人ならではの仕事を見させてもらいました。

万葉集にも詠まれた吉野離宮に位置する醤油蔵 梅谷醸造元

昼食をとった後向かったのは、宮滝しょうゆを作っている『梅谷醸造元』さん。かつてこの場所は、万葉集にも詠われる『吉野離宮』があり、天武天皇・持統天皇など歴代の天皇がたびたび訪れた土地だそう。

梅谷醸造元さんは兄弟で醤油づくりをされており、この日はお兄さんの梅谷清嗣さんにご案内いただきました。長年使い込まれた吉野杉の木桶で寒い時期に仕込み、自然の寒暖差を活かして1年間以上かけて作ります。出来上がった醤油を使って再度仕込む『再仕込み醤油』に至っては、2年以上かけて作ることになるので驚きです。

個人の方の購入が多いと聞いていましたが、僕らがお邪魔している間にも地元の方がお醤油を買いに来られていました。『宮滝ぽん酢しょうゆ』が日本野菜ソムリエ協会主催『2018調味料選手権』で鍋物調味料部門の最優秀賞を受賞したり、TV番組『マツコの知らない世界』で取り上げられたりという実力派の醤油蔵。
梅谷醸造元ホームページからネット販売もされていますし、ふるさとの納税の返礼品にもなっています。

地域の農業・林業とともに生きる酒蔵 美吉野醸造

続いて伺ったのは、日本酒『花巴』で有名な『美吉野醸造』さんです。花巴は私も以前から大好きな日本酒の一つ。試飲を楽しみにいったのですが(笑)、杜氏が語る醸造の思想を聞いて感銘を受けました。

お話しいただいたのは、美吉野醸造の杜氏でもある橋本晃明専務取締役。 「吉野は急峻な山地が多く、広い田畑を作れないため、決して米作りに適している地域とは言えない。だからといって他の地域から取り寄せていると、お米が手に入らなくなったときに事業ができなくなるというリスクを抱えることになる。だからこそ、その地域で採れるお米を安定的に仕入れて酒造りをすることにこだわっている。たとえお米の出来にブレがあったとしても、醸造において対応できる技術力を身に付けることで解決できる。」 …いや、もう素晴らしいです。持続的な酒造りをされていました。

最近ではホーローの樽や温度管理ができる樽が使われるのが一般的ですが、美吉野醸造ではそれらに加えて吉野杉の木桶も使われています。吉野杉の『香りがつかない』『年輪が細かいので漏れない』ということを知ってもらうために木桶を使っているといいます。

興味深いお話を聞いた後に飲む日本酒は絶品でした。同じ蔵でも、作り方や樽、原料によって全然味が変わることを体感できます。

奈良県内で『花巴』を置いているお店は結構多いです。東京でも、新宿三丁目に『花巴』専門店があり、なんと常時50種類以上揃える立ち飲み屋さんがあるので、関東方面の方はぜひ足をお運びください。

養生餐 よきこときく (食べログ評価3.52(2019.6時点))

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自然と調和する吉野の考え方に触れた一日

初日に行ったどの訪問先でも吉野杉とつながり、吉野町と林業・自然が切っても切り離せない関係であることを実感しました。そして、自然に抗うことなく、むしろその自然を活かしたモノづくりをしているところに吉野の奥深さを感じます。

本日の宿『KAM INN』にチェックインした後、宴会へと向かいました。宴会会場は、八釣さんの同級生である東広明さんが経営する『花夢花夢』。酔っぱらって寝てしまったので、あまり内容は覚えていませんが、楽しい一日が過ぎていきました。。(笑)

【レポート】現代版参勤交代 吉野の旅 -後編-に続く


 
written by
中島 章

東京で人材サービス会社・コンサルティング会社で働いた後、地元奈良へ移住。奈良移住計画を立ち上げ、移住者を応援する活動をしている。